緊急避妊薬(アフターピル)について正しく知ろう
「もし避妊に失敗してしまったら…」「コンドームが破れてしまった…」そんなとき、頼りになるのが緊急避妊薬、通称アフターピルです。でも、「使ったことがないから不安」「どこで手に入るの?」「副作用はあるの?」といった疑問や不安を持っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、緊急避妊薬について正しい知識を持っていただくために、わかりやすく丁寧に解説していきます。いざというときの選択肢として、また自分自身や大切な人を守るためにも、ぜひ知っておいてほしい情報です。
緊急避妊薬(アフターピル)ってなに?
アフターピルは、避妊に失敗したあとに妊娠を防ぐために使う薬です。性交後に服用することで、排卵を遅らせたり、受精や着床を防いだりする働きがあります。
日本で一般的に使われているアフターピルには、大きく分けて2種類あります。
- レボノルゲストレル(LNG):性交後72時間以内に服用すると効果がある。日本で広く使用されており、副作用も比較的少ない。
- ウリプリスタール酢酸エステル(UPA):性交後120時間(5日間)以内に服用可能。LNGよりも効果が高いとされている。
どちらの薬も、妊娠を100%防げるわけではありませんが、服用が早ければ早いほど効果が高くなります。
どうやって使うの?
アフターピルは、性行為後なるべく早く、遅くとも72時間(または120時間)以内に服用することが大切です。服用方法はとても簡単で、1錠を1回だけ飲むだけ。食事の有無にかかわらず服用できます。
服用後は、人によっては吐き気や頭痛、めまいなどの副作用を感じることもありますが、多くの場合は一時的なもので、特別な治療は不要です。ただし、服用後に嘔吐してしまった場合は、薬の効果が出ないこともあるので、早めに医師に相談しましょう。
どこで手に入るの?
日本では、2024年からアフターピルが一部薬局で処方箋なしでも購入できるようになりました。ただし、すべての薬局で取り扱っているわけではなく、事前に研修を受けた薬剤師が常駐している店舗に限られています。
それ以外にも、以下のような方法で入手可能です:
- 婦人科や産婦人科を受診して処方してもらう
- オンライン診療を利用する(近年増加中)
- 一部の自治体では若者向けに無料で提供する取り組みもあり
どの方法を選ぶにしても、なるべく早く行動することが大切です。
副作用ってあるの?
アフターピルは比較的安全性が高い薬ですが、副作用が全くないわけではありません。主な副作用には以下のようなものがあります。
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛
- めまい
- 腹痛
- 不正出血
- 月経のタイミングが早まる、または遅れる
これらの症状はほとんどが一時的で、数日以内に治まることが多いです。ただし、異常に長引く場合や体調に大きな変化がある場合は、必ず医師に相談してください。
よくある誤解
アフターピルについては、さまざまな誤解や偏見も存在します。ここでは、よくある誤解をいくつか紹介し、正しい情報をお伝えします。
誤解1:「アフターピルは中絶薬」
→ 違います。 アフターピルは妊娠を防ぐための薬であって、すでに成立した妊娠を終わらせる薬ではありません。妊娠が成立する前の段階で働きかけるのが特徴です。
誤解2:「何回も使っても大丈夫」
→ 正しくありません。 緊急時に使える選択肢ではありますが、毎回の避妊として使用することは推奨されていません。副作用のリスクやホルモンバランスへの影響もあるため、通常の避妊方法(ピルやコンドーム)と併用して、アフターピルはあくまで「もしも」のときに。
誤解3:「未成年は使えない」
→ 誤解です。 年齢にかかわらず、必要であれば誰でも使用可能です。実際に、若年層に向けた性教育や避妊支援の一環として、アフターピルの正しい知識と使用が推奨されています。
どんなときに使うべき?
以下のような状況で、アフターピルの使用が検討されます:
- コンドームが破れた、ずれた
- コンドームを使わなかった
- ピルを飲み忘れた
- 性被害に遭った
「妊娠しているかもしれない」と不安に感じたときには、まず落ち着いて、信頼できる医療機関や相談窓口に連絡を。早い対応が、心身の負担を軽くします。
もし妊娠してしまったら?
アフターピルを服用しても妊娠する可能性はゼロではありません。もし予定の生理が1週間以上遅れた場合は、妊娠検査薬を使用し、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
妊娠が確認された場合、その後の選択肢(継続、養子縁組、人工妊娠中絶など)については、専門機関と相談しながら、自分自身が納得できる方法を選んでください。
おわりに
緊急避妊薬(アフターピル)は、「失敗してしまったかもしれない」と不安なときの、強い味方です。ただし、それは「最後の手段」であり、普段からの避妊や性に関する知識の習得が大切です。
私たち一人ひとりが、正しい知識と選択肢を持ち、安心して自分の体と向き合える社会を目指していきましょう。
困ったとき、不安なときは、一人で抱え込まず、信頼できる大人や医療機関に相談することも大切です。
性に関することは恥ずかしいことでも、後ろめたいことでもありません。自分自身を大切にすることは、誰にとっても誇るべきことです。