ピルとは?低用量ピルの効果と副作用
「ピル」と聞くと、みなさんはどんなイメージを持つでしょうか?
避妊のための薬、女性だけが使うもの、ちょっと怖い薬…など、いろいろな印象があるかもしれません。
でも実は、ピルには避妊だけでなく、生理痛の軽減や肌荒れの改善など、女性の心と体をサポートしてくれる効果がたくさんあるんです。そして、正しく理解して使えば、決して怖いものではありません。
この記事では、「ピルってなに?」「どんな効果があるの?」「副作用は?」「実際どうやって使うの?」といった疑問に、できるだけやさしく、わかりやすくお答えしていきます。
これからピルを考えている方も、すでに使っている方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ピルってなに?
まず、「ピル」という言葉は、「経口避妊薬(けいこうひにんやく)」のことを指します。つまり、飲むことで妊娠を防ぐお薬です。
中でも「低用量ピル(ていようりょうピル)」は、ホルモンの量が少なめに調整されたタイプで、日本でも広く使われています。現在、医師の処方が必要ですが、通院がしやすくなったり、オンライン診療でも手に入るようになったりと、以前より身近な存在になってきました。
ピルに含まれる成分は?
低用量ピルには、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」と「プロゲスチン」という2つのホルモンが含まれています。これらは、もともと女性の体内にあるホルモンと似た働きをするもので、これを体外から補うことで排卵を止めたり、生理周期をコントロールしたりすることができます。
ピルの主な効果
低用量ピルには、以下のような効果があります。
① 高い避妊効果
低用量ピルを毎日決まった時間に正しく飲むことで、99%以上という非常に高い避妊効果が得られます。
これはコンドームなどよりもずっと高い確率で、避妊に失敗するリスクを大きく減らすことができます。
② 生理痛の軽減
「毎月の生理がつらい…」という人にとって、ピルは強い味方になります。ピルを飲むことで排卵が抑えられるため、子宮内膜が厚くなりにくくなり、結果的に経血量が減少し、生理痛が軽くなることが多いです。
特に子宮内膜症の人や、PMS(月経前症候群)で悩んでいる人にも、医師が治療の一環として処方することがあります。
③ 生理周期の安定
生理の周期がバラバラな人、突然早く来たり遅く来たりする人も、ピルを飲むことで安定した周期に整えることができます。
旅行や大事な予定と生理がかぶりそうなときなど、ピルで生理日をずらすことも可能です。
④ 肌荒れやニキビの改善
ピルはホルモンバランスを整える働きがあるので、ホルモン由来のニキビや肌荒れに悩む人にも効果が見られることがあります。特に「アンドロゲン」という男性ホルモンの働きを抑える成分が入っているピルは、ニキビに悩む女性に処方されることもあります。
⑤ 卵巣がん・子宮体がんの予防効果
低用量ピルを長期的に服用することで、将来的に卵巣がんや子宮体がんのリスクを下げるという研究結果もあります。これはピルが排卵を抑えることで卵巣へのダメージが減ることや、子宮内膜の増殖が抑えられるためと考えられています。
ピルの副作用は?
もちろん、薬ですから副作用もゼロではありません。でも、正しく使えばほとんどの人が安全に服用できるものです。副作用には、次のようなものがあります。
よくある副作用(軽度)
- 吐き気や胃のむかつき
- 頭痛
- 胸の張り
- 不正出血(予定外の出血)
- 気分の変化、軽い落ち込み
これらは飲み始めの1〜2ヶ月の間に出ることが多く、体が慣れてくると自然と落ち着いていくことがほとんどです。
重い副作用(まれに起こる)
- 血栓症(けっせんしょう)
ピルで一番注意が必要なのは、血液が固まりやすくなり、「血栓」ができるリスクです。特に、喫煙者、35歳以上の人、肥満の人、長時間動かない仕事や飛行機に長く乗る人などは、注意が必要です。
症状としては、急な足の腫れ、痛み、息切れ、胸の痛み、視界の異常などがあります。もしもこういった症状が出たら、すぐに医療機関を受診しましょう。
ピルの飲み方
ピルは基本的に「毎日1錠」を決まった時間に飲むのがルールです。飲み忘れが少なくなるよう、朝食後や就寝前など、自分の生活に合わせた時間を決めるのがオススメです。
21錠タイプと28錠タイプ
ピルには「21錠タイプ」と「28錠タイプ」の2種類があります。
- 21錠タイプ:ホルモンが入った錠剤を21日間飲み、7日間は休薬(飲まない)します。
- 28錠タイプ:ホルモン入りの21錠と、ホルモンなしの7錠(偽薬)がセットになっており、毎日飲み続けることで飲み忘れを防ぎやすくなっています。
飲み忘れがあると避妊効果が下がるため、できるだけ同じ時間に、忘れずに飲む習慣をつけることが大切です。
どこで手に入るの?
低用量ピルは、婦人科やレディースクリニックで処方してもらえます。初めての診察では、問診や血圧測定、必要に応じて血液検査などを行います。
最近はオンライン診療でも処方してもらえるところが増えており、スマホで診察→自宅に郵送という手軽なスタイルも人気です。
費用は、月に2,000〜3,000円程度が相場ですが、種類や医療機関によって差があります。
ピルに関するよくある誤解
「ピルを飲むと太るって本当?」
ホルモンの影響でむくみが出ることはありますが、ピル自体で大きく太ることはほとんどありません。体質や食生活の影響の方が大きいです。
「長く飲むと妊娠できなくなる?」
これもよくある誤解ですが、ピルの服用をやめると、多くの人は1〜3ヶ月で自然な排卵が戻ってきます。将来の妊娠に影響することは基本的にありません。
おわりに:ピルは女性の選択肢のひとつ
ピルは単なる避妊薬ではありません。
女性が自分の体と心を大切にしながら、毎日を快適に過ごすための「選択肢」のひとつです。
もちろん、体に合う・合わないは人それぞれですし、副作用やリスクもゼロではありません。だからこそ、信頼できる医師と相談しながら、自分に合った方法を選ぶことが大切です。
「なんとなく怖い」「知らないから不安」ではなく、知ることで、自分の体にもっと優しくなれるはず。
ピルを味方に、もっと自分らしい毎日を手に入れてみませんか?