【産後レスにならないために夫婦でできること】
赤ちゃんが生まれてからの生活は、それまでとはガラッと変わります。喜びや感動はもちろんありますが、同時に疲労やストレス、不安も大きくなるものです。そんな中で、夫婦のスキンシップや性の営みが減ってしまい、いわゆる「産後レス」になるご夫婦も少なくありません。
産後レスとは、出産後に夫婦の性行為が途絶え、その状態が長期化していることを指します。これは一時的なものなら問題ありませんが、長引くと夫婦関係にひびが入ったり、パートナーへの不満が積み重なったりすることも。
では、産後レスを防ぐために、夫婦でできることは何でしょうか?ここでは、実践的なヒントや心構えを交えてご紹介していきます。
■ 1. まずは「産後レスは自然なこと」と理解する
赤ちゃんが生まれてすぐは、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、授乳などで、特に女性の体はとても大変な状態です。性欲が減退するのはごく自然なこと。ここで無理をしてしまうと、心身ともに負担になり、かえって逆効果です。
パートナーがこの変化を理解し、「今はそういう時期なんだ」と受け止めることが大切です。無理に求めたり、冷たくされたと感じたりするのではなく、思いやりの気持ちを持ちましょう。
■ 2. お互いの気持ちを素直に話す習慣をつける
夫婦間でのコミュニケーションは、何よりも大事です。「最近スキンシップが減ったけど、大丈夫かな?」など、気になることがあれば優しく伝えましょう。
その際、「責める」のではなく、「感じていること」を共有するというスタンスが重要です。
例えば、 「最近疲れてるよね。何か手伝えることある?」 「ちょっと寂しい気持ちになることがあるんだけど、どうかな?」 といったように、相手の気持ちを尊重しながら話すことがポイントです。
■ 3. スキンシップは“性”だけじゃない
キスやハグ、手をつなぐ、肩に触れる、目を見て笑い合う……こうした日常の中のスキンシップも、実はとても大切です。
「性行為」だけに注目するのではなく、「肌と肌の触れ合い」や「心の距離感」を縮めることを意識してみましょう。
産後はどうしても「親」としての役割に集中しがちですが、「夫婦」であることを忘れないよう、意識してスキンシップを増やすことが、自然な流れで関係を取り戻す一歩になります。
■ 4. 一緒に過ごす“夫婦だけの時間”をつくる
育児に追われていると、夫婦二人だけの時間なんて夢のまた夢……と思ってしまいがちですが、だからこそ意識的にその時間を作ることが大切です。
お子さんが寝た後のほんの10分でも、お茶を飲みながら話す、映画を観る、手をつなぐなど、ささいなことでOKです。
定期的に「夫婦の時間」をとることで、二人の関係がリセットされやすくなります。
もし可能なら、親や一時保育を利用して、ほんの数時間でもデートをするのもオススメです。外で過ごすことで、日常から離れ、夫婦としての空気を取り戻せることがあります。
■ 5. 家事・育児の“見える化”で負担を共有する
「私ばっかり大変」「気づいてくれない」——こうした不満が募ると、スキンシップどころではなくなってしまいます。
そこでオススメなのが、家事や育児の“見える化”。
・赤ちゃんの授乳・オムツ替えの回数 ・家事の内容と頻度 ・睡眠時間 などを可視化して、パートナーとシェアしましょう。
これにより、自然とお互いの大変さを理解しやすくなり、「ありがとう」「助かるよ」といった感謝の気持ちも芽生えやすくなります。
■ 6. セックスに対する価値観を話し合う
夫婦といえど、性に対する価値観やペース、タイミングは異なるものです。特に産後は、女性の心と体が変化する中で、「触られること自体がストレス」というケースも少なくありません。
無理に性行為を再開しようとせず、 「どんなペースで再開したい?」 「今はどう感じてる?」 といった話をして、お互いの価値観をすり合わせることが大切です。
会話の中で、性行為の再開が「義務」や「我慢」ではなく、「二人の愛情表現の一つ」として捉えられるようになると、自然と距離も縮まっていきます。
■ 7. 自分自身の“心と体”をケアする
出産を終えた女性にとって、自分の体に自信が持てなくなったり、気分が沈みがちになることは珍しくありません。
そんな時こそ、「自分を大切にする」ことを意識しましょう。
・栄養のある食事をとる ・好きな服を着る ・髪を整える ・短時間でも自分の趣味に触れる
こうした小さな積み重ねが、少しずつ心に余裕を生み、自信を取り戻すきっかけになります。そして、それが夫婦関係にも良い影響を与えるはずです。
もちろんパートナーも、「産後の妻をねぎらい、褒める」「自分の時間も持ってリフレッシュする」など、心身のバランスを保つことが必要です。
■ 8. 専門家の力を借りる選択肢も
どうしても気持ちのすれ違いが解消できない、性に関する問題を話すのが難しい……そんな時は、夫婦カウンセリングや性に関する相談窓口を活用するのも一つの手段です。
プロに話すことで、新たな視点を得られたり、解決の糸口が見つかったりすることがあります。
産後の問題は、決して「自分たちだけのせい」ではありません。社会的な支援も含めて、広い視野で考えてみましょう。
■ 最後に:夫婦の“今”を大切にする
産後レスを乗り越えるためには、「何かを変える」こと以上に、「今の自分たちを受け入れる」ことが大切です。
子育てという大仕事を共にしているからこそ、すれ違うこともある。でも、そこには必ず「絆」があります。その絆を見つめ直し、少しずつ温めていく時間を、ぜひ大切にしてください。
夫婦の形は十人十色。無理をせず、焦らず、二人らしいペースで、産後の生活を育んでいけますように。